街頭演説は、有権者に直接、熱意と政策を伝える貴重な機会です。しかし、どれほど素晴らしい政策を持っていても、伝え方を間違えれば聴衆の心には響きません。
今回は、政治家が演説で陥りがちな落とし穴を防ぎ、有権者の共感を呼ぶために必ず気を付けるべき3つの鉄則をご紹介します。
鉄則 1: 「自分が話したいこと」よりも「聴衆が聞きたいこと」を話せ！
政治家として、自身の主張や実現したい政策を熱く語りたいのは当然のことです。しかし、演説が「自分よがりな独白」になっていないか、常に自問自答してください。
聴衆は、**「自分の生活がどう良くなるのか」「この候補者は自分の痛みを理解しているのか」**を聞きたがっています。
- 独りよがりな話し方: 政策の中身を一方的に、早口で詰め込む。
- 共感を呼ぶ話し方: 聴衆が抱える具体的な問題提起から入り、その解決策として政策を提示する。
主張を述べたい気持ちはぐっとこらえ、まずは聴衆の心に語りかけ、共感の輪を広げることを最優先にしましょう。早口は禁物です。落ち着いたトーンで、メッセージを明確に伝えることが重要です。
鉄則 2: 聴衆と同じ目線で「自分の声」を客観的にチェックせよ！
演説の「中身」と同じくらい重要なのが「声」の伝わり方です。残念ながら、演説中の政治家本人は、自分の声が聴衆にどう届いているか正確には把握できません。
- 確認方法: 演説をビデオで録画し、必ず見返しましょう。
ただし、ピンマイクから直接録音されたクリアな音声ではなく、なるべく演説場所の後方から、聴衆と同じ距離で、ビデオ内蔵マイクで収録した映像で確認することが重要です。この音が、まさに聴衆が現場で聞いている「生の声」に近いからです。
- チェックポイント:
- 音量: 小さすぎて聞き取りにくい部分はないか？ または大きすぎて耳障りになっていないか？
- トーン: 高すぎたり、低すぎたりして、威圧的・単調に聞こえていないか？
- スピード: 早口になって、何を言っているのか分からなくなっていないか？
この客観的なチェックは、他の誰でもなく本人が行うべきです。なぜなら、本人が自分の問題点を認識しない限り、修正は不可能だからです。
鉄則 3: 視線は「メッセージ」を伝える重要なツールだと心得よ！
聴衆は、話し手の目線から、その人物の誠実さや自信、そして聴衆への関心を読み取ります。
- 確認ポイント:
- 視線の範囲: 一点だけを見つめる「空中分解」状態になっていないか？
- 視線の動き: 周囲に視線を向けることは大切ですが、動きが速すぎたり、頻繁すぎたりして、落ち着きがない、自信がないという印象を与えていないか？
聴衆全体にバランス良く視線を配り、時折、特定の人の顔を見て語りかけることで、「あなたに話している」というメッセージが伝わり、一体感が生まれます。
街頭演説は、政策を伝える場であると同時に、政治家自身の「人間性」や「コミュニケーション能力」が試される場です。この3つの鉄則を意識して実践することで、あなたのメッセージはより力強く、そしてより多くの人の心に響くようになるでしょう。
